前回までのあらすじ:しまあじが狂った
「狂った細かい過程、本人から聞いてたんでしょ? どうだったの?」
「三日間クエで、バラバラだったみんなが思った以上に協力してくれたおかげで『やっぱり迷宮は全てを解決する……迷宮しか勝たん!!』ってなったみたい」
「結局自分たちの撒いた種でワロタ」
「そして、7階に来ました。そしてこの黒い謎の床は……痛って!!!」
「ダメージ床かぁ……えんがわ、警戒斥候はある?」
「あるにはあるが、スキルレベルが低いぞ」
「うーん、これはメディックが忙しくなりそう」
「お世話になります……」
「7階、8階の地図を完成させて欲しい!!というクエストを受けていたので、衛士さん達が書きかけの地図をくれました」
「このクエストスルーしたらどうなるんだろ」
「来世ではその差分見て見るかぁ」
「一応歩ける範囲の場所は見て回ったけど、不自然なまでに開いてる箇所があるような……」
「よく見て見ろ、鍵のかかった扉があるぞ。つまり今の俺たちには、このフロアすべてを把握することは、出来ないってことだ」
「また後で来ることになりそうだし、地図はちゃんと書いておかないとね」
「めっちゃ落書きしながら言われても」
「そしてミッション?を受領していなかったので、ここで殺気くんに足止めを食らいました」
「毎度毎度思うけど、この縛り何なんだ」
「親切心で冒険に来たんじゃないという強い意志の表れです」
「メインヒロインの元へ戻ってまいりました」
「大公様具合が悪いんだ~それでミッションをね」
「ハイ・ラガードが世界樹の迷宮への冒険者を集め出したのって、割と最近だよね?」
「エトリアやアーモロードに比べると、最近だな。勿論、今までも勝手に挑んでいた人はいるのだろうけど」
「うーん、そっか。じゃあ冒険のロマンとかじゃなくて、他の目的があった上で冒険者を集めてるんだぁ」
「またアレルギー反応出てますわよ」
「前にも聞いたかもしれないけど、びんちょうはどうしてそこまで目的を持たないことに拘るんだ?」
「目的を果たせなかったとき、悲しいからだってさ」
「いやなんでお前が答えるんだよ」
「はまちには色々話聞いてもらってるからね。だってもし大公様の病気を治すための材料が樹海に無かったら、公女様は悲しいでしょ? でも冒険って、必ず目的のものが手に入るか分からないじゃん。それで『今までの苦労はなんだったんだー』って、冒険そのものに価値が無くなっちゃうのが嫌だなって」
「そっか。びんちょうは、別に人助けが嫌いな訳じゃ無いんだね」
「みんなが幸せになればよいと思ってるけど、冒険に関して確約や約束事はしたくないかな。がっかりさせたくないじゃん」
「ちなみに以前言ってたおじい"さん"の話とは関係あるの?」
「それも理由の一つだね。そこに付いて語ると長くなっちゃうけど」
「それじゃあこの件に関しては、私が色々請け負うことにするね」
「病気を治す云々なら、お前の専門分野だしな」
「今は冒険そのものが楽しくなってるけど、一応目的は『医療技術の発展』のためだからね。そこら中の医者が集まったって解決しない病気の薬の開発方法がわかったら、きっと凄い医療革命が起こるはずよ?」
「確かにまいわしの目的とは合っているかも。びんちょう、これから公女様とその周りのことは、全部まいわしに任せておきなさい」
「……わかった!!有難う!!」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「と言う訳で、やって参りましたサラマンドラの巣」
「えっと、なんか毛を回収するんだっけ?」
「何故か記憶にあるような内容のクエストっすね。話を聞く限りサラマンドラは今の我々では太刀打ちできない相手のようなので、戦わずぬっと泥棒する必要があるみたい」
「俺たちの得意技だな」
「まるで僕たちが泥棒を働いていたかのような言い方」
「ミッションとは言え実際に飛竜のタマゴ盗んだこともあるしね。今回の方が生命じゃない分気は楽かも」
「サラマンドラの他にはFOEが二体……じゃあまずこう引き付けて……よしっ!!」
「回収完了!!そして糸で脱出!!」
「ただいまハイ・ラガード!!」
「思った以上に早く終わったね。やっぱり夜賊の才能あったのかも」
「いっそみんなでナイトシーカーに転職するか。俺の後輩にいんだけど、奴もハイ・ラガード来てるって」
「とりあえず、法律は犯さない方向で行こう!!」
「ナイトシーカーも全員が全員犯罪を犯してるわけじゃないからね」
「ナイトシーカーのみなさん、えんがわの後輩さん、ごめんなさい」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「……なんだか急に悪寒が」
「大丈夫ですか? ハイ・ラガード寒いでしょう?もっと厚着した方が良いですよ。あ、私兄から何か借りてきましょうか?」
(……これはもっと精神的なやつだろうな)
続く!!