※ストーリーすすみません。今までもそうでしたが、今回はほぼ自ギルド厨の見た妄想です。
「はあ……」
「どうしたの? 悩み事??」
「ああ、いや。大した話じゃないから……」
「また私で良ければ話を聞くけど」
「びんちょうに相談したところで、今回の件だと『迷宮に行けば解決』で済まされそうだけど……まあいっか」
「悩んでいるのはメンバーのことなんだ。いつも俺たち、このメンバーで樹海潜ってるだろ?」
「うん、そうだね」
「でもいまいち全体的に団結感に欠けるというか……かんぱちはフリーダムだし、にしんときびなごはなーんか張り合ってるし」
「ああー、二人とも支援職だもんね。やっぱりライバル視するよね」
(それだけじゃないと思うけどね)※近くでお菓子を食べていたまいわし
「ヒラメが来てくれて多少空気は良くなったかな、とも思うんだけど。それなら、このままいい感じになってほしいな……とも思うけど、どうすりゃいいのかなって」
「そっか……。ねえ、良かったらこのクエスト、みんなで受けてみたら?」
「三日間樹海に潜る……?俺たちで!?!? って結局迷宮じゃねーか!!!!!」
「まあまあまあまあ落ち着いて!!一旦話を聞いて!!そうだね結局迷宮!!迷宮は全てを解決するからね!!でもちゃんと根拠もあるんだよ!!!」
「根拠……?」
「エトリアでの冒険を思い出して欲しいんだけどさ。かんぱちもきびなごもにしんも、みんなちょっと変わったところが多い子だけど、でもそんなみんなも怒ったり泣いたり怯えたり、そうすることはあるじゃない?」
「……言われてみれば、あの恐れを知らないかんぱちは迷宮内でFOE(とこしえの魔竜)に追いかけまわされて恐怖の感情を露わにしたり、感情を絶対に表に出さないきびなごが、毎度毎度こっちのバフを消してくる雷竜に遂にブチ切れたり、にしんもマイペースなのにメタルシザーズ相手には、ペースを乱されまくったり……」
「そう、そしてこれらは全て」
「迷宮内での出来事……!!」
(あ、ハモった)
「確かに迷宮内でなら、普段の生活よりも色々な発見や進展がありそうだ。……やってみるぜ!!」
「おう!!その意気だ!!頑張れ!!!!」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「……で、それで今日帰って来ると」
「びんちょうにしては、こういうクエストを人に譲るの珍しいな」
「あたし達は一度こういうのやってるしねー。それにいつの間にかみんなを引っ張っていく立場になっちゃったもん。自分のことだけ考えてるわけにはいかないよ」
「大丈夫かなあ。みんな警戒歩行も戦後手当も、なんなら回復技も無いじゃん」
「4階は完全にエンカウントしない場所も無かったよね。ちょっと心配」
「まあまあ。あの子たちもエトリアで色々な冒険をしてきたんだから、それを信じましょ」
「まいわしの言う通りじゃ。さて、あの子たちが帰って来た時の為の布団とお風呂を用意してくるとしようかの」
カラーン
「ただいまー!!」
(あれ、アイコンなんか変わってね??)
「おかえりー!!おお、良い顔つきになったね!!」
「いやー、最高でしたよ!!つーかさっすがびんちょう!!やっぱ迷宮って最高だよな!!迷宮は全てを解決する!!迷宮最高!!」
「おお~~~解ってるぅ~~~~!!!!」
「「「???」」」
「ただいま帰りました!!無事任務を果たしてきたであります!!」
「帰ってまいりましたわ……ふふっ、えーっと……とにかくお風呂に入りたいのですわ……くくっ……」
「……」
「……」
「……どうやら、生まれたようだな、第二のびんちょうが」
「びんちょうが二人になるのは構わないけど、まず一体どういう状況でこうなったのか聞きたいかも」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「で、何がどうしてこうなったんだ?」
「特になにもありませんわ。ただ普通に……」
「イーグルアイにオールボンデージを決めたり」
「テント設営をしたり」
「ブシドーじゃなくても別に大丈夫そうな仕掛けを解いたり」
「焚火を囲んで人生を語り合ったりしていたらこうなりましたわ」
「……成程!!有難う!!」
「いや成程じゃねーだろ!!!もっと突っ込んで聞けよどうしてこうなったのか!!!」
(こんなに感情的なきびなご、三竜以来だな)
「でも実際本当にこれくらいしかやっていないであります。特殊なことは何一つ……」
「だったら直接聞いた方が良くない??しまあじー、どうしてそんな風になっちゃったのー??」
「なんでかねー!!真面目にやって来たからかなーーー!!!」
「ほら!!本人に聞いても懐かしのCMみたいな答えしかしないんだよ!!」
「12歳がなんでアリさんマークの引越社のCM知ってるのよ」
「……正直こうなる予兆はあったよな」
「最近やたらと冒険に積極的だったり、びんちょうに意気投合したりね」
「今もびんちょうと、キマイラリベンジ戦の作戦練っているものね。前から戦闘は好きみたいだったけど、ここまでガンギマリの状態じゃなかったし」
「そっか……びんちょうか」
「それなら駄目だ、ボクにはびんちょうを殺せない……あれは呪いとかよりももっと恐ろしい存在だ……」
「うん、にしんが言うなら駄目だね。……それに流石の僕でもびんちょうに弓を向けることは出来ない……」
「おお~~若人たちよ!!随分重苦しい空気だな!!」
「そりゃずっとお慕いしていた人が、こんなになったらこうなるでしょ」
「いや、別の人と言うより……しまあじは覚醒したのじゃ、迷宮人(めいきゅうびと)へと」
「迷宮……人!?」
「出ました、本当の自分が覚醒しただけ理論」
「まあそう卑屈になるな。いるのじゃよ、世の中には、迷宮を愛し迷宮を生きる者が。富と名声を得るのに、わざわざ迷宮と言う危険極まりないことをする者は大抵ギャンブラーか迷宮人--まあ妾が勝手にそう呼んでいるだけだがな。ともかく、しまあじは元から素質があり、そして今覚醒したのじゃよ、迷宮人に」
「ちなみに迷宮人とは、冒険者とは何が違うのでありますか?」
「冒険者という広い言葉の中に、迷宮人という属性がいるイメージじゃな。何度も言うが、この言葉は妾が勝手にそう言っているだけだから、あまり外で使わないように」
「確かに、しまあじは元々冒険をしたがっていた。最近はどんどん積極的になっていった。びんちょうに憧れていた。この三日間が、彼の最後のトリガーになった……それだけなのかも」
「そんな……せっかくこの広い世界で会えたのに、こんな形で分かり合えなくなってしまうなんて……絶望だよ」
「いやいや、もう分かり合えないと思うのは早計じゃよ? そもそもお主らは何故命の危険があるにも関わらず、冒険に出る?」
「僕は呪い師の鍛錬の為」
「わたくしはにしんちゃんと一緒なら……あとは命のやりとりがしたかったからですわ」
「鍛錬をするのは何も世界樹の迷宮でなくても良いじゃろ。それに、どうしてこのびんちょうのような人間率いるギルドに籍を置き続ける?しまあじがいるから?本当にそれだけか?」
(ババアの理屈、相変わらず無茶苦茶だな……)
「……何が言いたいんですか」
「妾の見立てでは、ここにいる者たちは全員、迷宮人として覚醒すると踏んでおる」
「ゼッテーーーーーーーーに嫌ですわ!!!!!!」
「……いや、僕はなるよ」
「は?」
「僕はね、ずっとしまあじと一緒にいたんだ。しまあじがいたからここまで来れた、みんなにも会えた。彼のいない人生になるくらいなら、狂ってやる……親友がもしうんこを漏らした時、やるべきことは共にうんこを漏らす事だろう?それと一緒さ、親友が狂気に堕ちたのなら、僕も同じだけ狂気に堕ちるだけ―――!!!!」
「待て!!早まるな!!確かにボクはキミが嫌いだ!!だけど、何もそこまでやることじゃないだろ!!!そんな、びんちょう達みたいになるなんて!!!!」
「……行こう、にしん。きっとしまあじの目指す世界には君も必要だ。カースメーカー、君は僕と違って封じ技を持っている。しまあじの力になれる。だから一緒に狂おう!!!」
「きびなごーーーーーー!!!!今までの悪口全部謝るから戻ってきてーーーーー!!!!!ああもうボクも狂っちゃおうかなーーーーーーー!!!!!」
「……やっぱり、にしんちゃんが狂うのなら、わたくしも狂いましょうかしら。というか、冷静に考えると、わたくしはもうとうの昔に、狂っていたのかもしれません。それならいっそ……」
「狂うとか狂わないとかは解らないでありますが、これからも精進していくであります!!」
「うーん、カオス!!」
「でもカオスってことは、楽しいってことだから」
「やっぱ人生をいかに楽しめるかって、いかに馬鹿なことでも本気でやるかどうかだもんね。これは良い方向になってるんじゃない?」
「みんな元気いっぱいで良いのう!!ツブもさっきから元気に吠えておるぞ!!」
「バウバウバウバウバウ!!!!!」
「迷宮サイコーーーーー!!!!」
「迷宮サイコーーーーー!!!!」
「……なんか騒いでるなって覗いてみたら、まともな奴がとうとういなくなったみたいだな」
「何も見なかった。そういうことにしておこう」
続く!!!