七七日横丁

この世とあの世とその世

異種交流:びんちょうオデッセイ(ネタバレあり)

あらすじ:シトトのお嬢さんにストーキングをして彼女の望みを聞き出しました

「人聞きが悪い。望みを聞き届けようという強い思いだよ」

「シトト嬢をストーキングした結果ドクターが謎の横移動で入ってきてちょっと笑いました」

「下手すると冒険者より俊敏で笑う」

「相手は一応魔物でしょ? 大丈夫なのかな」

「かんぱちが氷竜と友達になったって言ってたでしょ? 冒険者は基本貸し借りの世界だと思ってるんだけど、魔物ともそういう関係築けるのかなあ、なんて思ってね」

「あの話ね。かんぱちが嘘をつくとは思えないけど、本当なのかしら。だって氷竜ってエトリアでおっさんの腕氷漬けにするくらいヤバそうな奴じゃん」

「個体差があるのかも。ハイ・ラガードの氷竜は氷王の墓をずっと守ってたし、宿屋の娘さんも傷つけて無かったよ」

「びんちょうが考え無しの行動を起こすとは思ってなかったが、これも打算的だとちょっと怖いな」

「そこまで血も涙も通ってないように見える???」

「それにしても樹海でこんなにのほほんとした光景に出会えるとはねえ。可愛いなあ~。うふふ」

「まいわし、可愛いものとか好きなんだね。雛鳥を解体して調理したびんちょうとは大違いだ!!」

「みんな、あたしに対する偏見凄くない??」

「酒場のおじさんに小言を言われつつも依頼の報告!!実際その通りだと思うけどね」

「ついでに別の依頼も受けていくか」

「……?」

「ナ、ナンダッテーー!!」

「うひゃーー!!!」

はいだらー!!」(消火活動中)

はいだらー!!」(消火活動中)

「らりるれかじだー!!」(消火活動中)

「この状況で何ボケているんだ!!」(消火活動中)

「うわあ、地獄絵図」

「……」(消火活動中)

(きびなごが雄一少年の妄想上のジュラル星人の台詞を言うのをギリギリで耐えている……!!その良心がまだ残っているなんて俺は安心だぜ!!)(消火活動中)

「うわーーー!!僕たちは何をすれば良いんですか(ありますか)ーーー!!」

「二人とも声でっか!!!」

「あ、まじ?」

「魔物……でも、びんちょうのおじいちゃんが結界を張ったって言ってなかった?」

「となると、同じ時空を歪ます能力持ちがこれに関わってる?」

「一つだけ思いつく奴がいるな」

「三階で突然時空が歪んだあれかあ。確かにあのレベルの事を起こせるなら、今回の事件も起こせそう」

「あの時いたのは……。確かに時空を歪ませて作った結界を超えてきそうなくらいBIGな奴ね」

「誰か時空を歪ませることについてツッコミを入れてくれ」

「諦めてください」

「ギルド長に考察を伝えたんだけど『は?』みたいな顔をされたので、もうちょっと証拠を集めます!!」

「そのついでに依頼を受けたんだが、どうやら依頼主は翼人のようだな」

「で、そのクランヴァリネって何なの?」

「あれま!!雷竜のことだったの!!」

「こちらも被害に遭っておりますか。どうして今まで大人しかったのに、こうも荒らしまくってるのかしら」

「発情期じゃね?」

「やめなさい」

「でも竜ってどうやって繁殖してるんだろうね? エトリアにもいたってことは、複数いるだろうし、突然変異って訳でもなさそうだし……」

「今度五反田パイセン(ビーストキング)に聞いてみましょうかしら」

「ナンさんは依頼のことを知らなかったみたいだけど、どうせならということで、ぶっ壊れかけている宝物庫から宝を持ってくる手伝いをすることにしました」

「姉さん、盗んじゃだめだよ……?」

「ちゃんと依頼受けてるから盗んだりは……ってそんなに私が意地汚く見える……?」

「人手がいるな。また五人までのルールを破ってみんな樹海に連れてくるか」

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

「……なんだか最近すっかり肉体労働しかしていない気がするのですが」

「消火活動に文化財の保護、すっかり良い子になっちゃった」

「なんで俺まで駆り出されてんだ!!」

「一緒に頑張ろうぜ相棒♥」

「きもっ!!」

「みんな頑張れ~(癒しの子守唄&安らぎの子守唄)」

「なんでエトリアのスキルツリー……?」

「そんなに喜ばれるとこっちも嬉しいのじゃ!!」

「ババア大丈夫か?辛くなったら言うんだぞ」

「ツブもおるし元気一杯じゃ!!」

「ワン!!」

「大事な物か~誰しも大事なものはあるよな」

しまあじの大切なものって?」

「トラッピング」

「それは物とは言わないであります!!」

「君本当にトラッピングしか言えないの?」

「ってもう限界じゃん。早く持ってこないと危ないなあ」

「ってちょっと待って!!人が倒れている!!」

「いやいやいやいや何言ってるのこいつ。箱なんて持ち出していたら、あんた助ける時間無いじゃないか!」

「……」

「おいおい、私は医者よ!!幾ら大事なものがあるからって、人命を放っておけないわよ!!」

「そんなに大事なものって何!?何なの?」

「地獄みたいな選択肢出て来たぞ!!」

「ど、どうする?多数決取る?」

「人命の行く先を多数決で決めるな!!……俺だったら箱を持って行くな。世の中には人の命より大切なものがあるんだ」

「俺は人命を優先するな。どんな文化や伝統も命の前では無価値だ。生きていれば良いことがあるなんて約束はできないが、だとしても失われそうな命を放っておくことは出来ない」

ディベート大会始まったぞ」

「……意見、分かれちゃったね」

「……!! ……やめてくれ、そんな目で俺を見るな……!!」

ヒソヒソ(こいつ、巣鴨の後釜に据えるにはちょっと情緒不安定じゃね??)

ヒソヒソ(でもしょうがないよ。巣鴨さんをずっと縛り付けておくわけにもいかないし、彼で我慢しよう)

「そこ、聞こえているぞ」

「……かんぱちちゃん、大丈夫?」

「……この選択肢をわたくし達に任せろ、と?」

「……?」

ったく、何なんですか!!この選択肢を置いた開発スタッフの趣味!!ですわ!!

「怒りの矛先、そっちにいくんだ!?」

大体ですねぇ、こんなのどちらが幸福かなんて、わたくしたちに決めさせないでくださります!?人間の尺度で全て物を決められるわけないじゃないですか!!でも!!目の前で命が無残に散ろうとしているだなんて!!スルーできる訳がありません!!!

わたくしは命のやり取りが好きですが、それは何も一方的に相手が死ぬことが好きな訳ではありませんの!!それでしたら今もわたくしの職業は死刑執行人ですわよ!!命と言うのは!!簡単に捨てようとしないからこそ!!全力で奪い合うのが美しいのですわ!!自ら死を望むなどナンセンス!!

「かんぱちの哲学ってこんな感じなんだ~」

「お前何のんびり見てんだよ。止めろよこのヒステリック女を」

「かんぱちちゃんのこと酷く言わないでくれる?呪言」

ぐええええ

「ねえびんちょう、良ければこの選択肢、かんぱちちゃんに任せてあげられないかな?」

「……わかった」

「あああーーーーー!!!くっそ腹が立ちますわーーーー!!!」

「あああーーーーーー!!!!」

「あああーーーーーー!!!」

「あああーーーーーー!!!」


「あああーーーーーー!!!」

「あああーーーーーー!!!」

「あああーーーーーー!!!」

途中飯の画像挟まったぞ!!なんだあれは!!

あまりに決められ無さ過ぎて、イタリア料理食べてきました」※マジ

何故ピザだけフリー素材なんだ

「写真撮り忘れました」

「それがメインだろ」

「それで、結論は出たのか?」

「色々考えましたが箱を持ち出すことにしました。命より尊いものは無い、という考えは変わっていませんが、今後彼が翼人のコミュニティで生きていくとなると、箱を犠牲にしてまで生き残った彼は、どうなるのだろうか、と思ってしまいまして……」

「本当に、大丈夫?」

「ええ。……今更返り血の一つや二つ、増えたところで問題ありませんわ。サヨリ様、意見とは反対ですが良いでしょうか?」

「それが君の決断なら、俺はその答えを尊重するよ」

「……安らかに眠れよ」

「ケロッとしてるなあ。人が犠牲になっているって言うのに」

「こちらが一方的にモヤモヤして終わった気がして、後味が悪いであります……」

「……やっぱクッソムカつきますわ!!!!!!このおっさんのドヤ顔にも心底腹が立ちましてよ!!!!今からでもセーブデータ読み込んで違う意見にしましょうかしらねぇ!!!!!!!」

「……でもかんぱちちゃん、これはキミにとって何よりも大事なことだったんだ。……キミはずっと悩んでいる。迷っている。命のやり取りを愛おしく思いながら、命の重さを誰よりも解っている。これはキミにとっての試練だった。でも乗り越えることができた。凄いことだよ、キミは世界で一番立派だ

「にしんちゃん……わたくしのこと、そう思ってくれるのですか?」

誇りだ、素敵だ。キミは世界で一番輝いている

「に、にしんちゃーーーーん!!!!」;;;

「……なにこれ」

「……教祖と信者?」

「前々から思ってたんだけどにしんって絶対12歳じゃないだろ……だったとしても人生二周目だろ……」

「かんぱちさんとにしんさん……その、自分は、二人に付いていけないであります……」

 

華麗に続く!!