七七日横丁

この世とあの世とその世

銃と弓が両立する世界:びんちょうオデッセイ(※休日回)

「お久しブリブリブリ大根!!!!」

一年半ぶりに会った友にいきなりその挨拶か

「相変わらず空調のちっせぇ家だな」

「間違えて買ったんだよ……。ともかく、暫くハイ・ラガードに滞在する、ってことなんだよな。しらすは?」

「どうかね。『リマスター仕様が変わってるらしいしホーリーギフトいらなくね!?』とか言ってどっか行ったけど。効率云々以上にしらすが一緒にいてくれた方が嬉しいんだけどな」

「そうだな」

「あ、そうだ。なんか俺のいない間に色々すっげぇ頑張って、勲章得たとかでおめでとう。これお祝いの彫刻(作:えんがわ)」

「……銃の的にさせていただきます」

「さて、ここからが本題だ。今うちのギルドはハイ・ラガードの迷宮を突破しようとしている。そしてどうやらこっちでは樹海内での銃の発砲が許可されているとかで」

「つまり勧誘か。だが、残念ながら私はもう銃をそこまでうまく扱えない。銃の命中率も下がったさ」

「とかいいつつお前の場合、牛丼で言うところの大盛が並になったくらいなんだよな。何気ない一言が、幾千ものガンナーを傷つけた

見ない間にギャグ寄りのキャラになったな。ともかく今は隠居の身だから、その誘いには乗れない。……すまない」

「じゃあなんかよさげなガンナーの知り合いいない? そいつびんちょう達に紹介するわ」

「……良さげなガンナーと言う訳ではないが、面倒を見て欲しい人がいるんだが」

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「という訳で、遂にやってきたわに世界樹の迷宮!!

「四人で大丈夫かなぁ。ハイ・ラガードの迷宮、びんちょう達でさえ結構苦労しているみたいだよ」

「ましてやわたくしたち誰も回復持っていませんしね。スーパー脳筋パラダイスですわ」

『癒しの子守唄』も『安らぎの子守唄』もハイ・ラガードでは使えないなんて……いや、環境破壊技なのは解るんだけど……」

「なにそれぇ。じゃあ君もっとボクと役割被らない? だったらもっと別の職業と変わってくれない?」

「は?弱体効果永続じゃないくせに何言ってんの?」

「お前ら一旦落ち着けよ……かんぱちも笑ってないで止めてくれ」

「愉快愉快ですわ~~!!」ohohohohohoho

「いきなり天の声が聞こえて来たんだけど」

「こういう時しめさばさんボケに回りがち」

「びんちょう達は怖いよ……。あの人たちはもやは呪いとかじゃなくて、なにかもっと恐ろしいものを操っている……」

「にしんちゃんが言うならそういうことなんでしょうねぇ……ところで、さっきから何か変な声が聞こえませんか?」

 

準備運動その一、キェェェェェェェ!!!!

すっごいシャウトだ」

昇順よーーーーーーし!!!!!!!!!放て!!!!

ズドォォォォォォォン!!!!

「……銃声!? ハイ・ラガードでは銃が使えるのか!?」

「銃声と声のデカさがほぼ変わらないんだけど……」

「ちょっと様子を見に行ってみましょう」

「このヒラメ、必ず兄上のような立派なガンナーになることを誓います!!さあ、今日も元気に銃の練習をしましょう!!キェェェェェ!!!」

「なんでこんなに絶妙なタイミングで自分の名前を名乗るんだよ」

「独り言が激しすぎますわ」

「確認!!装填良し!!構え良し!!」

「……つーか、あいつの声のせいなのかな……」

「なんか周りから殺気を感じるような……」

 

「やっぱ囲まれてたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

「ややや!!!あなた方は、一体どなたでありますか!?」

「説明は後だ!!お前もちょっと手伝え!!」

「とにかく、わたくしはいつも通り首を狙いに行きますわ!!しまあじは今鞭装備でしたわよね!?」

「だから毒を狙いに行く!!きびなごは防御上げて、にしんは敵の攻撃力下げて!!紙耐久だからやられる!!そこの君は……」

「ヒラメです!!丁度ここに術式を施した攻撃用の弾丸があります!!」

「わかった!!それで敵の弱点を突いてくれ!!」

「な、なんとか勝てたーーー!!」

「無事誰も倒れずに勝つことができましたわ。えーっとヒラメさんでしたっけ?」

「凄い連帯感ですね!!さぞ仲が良いのでしょう!!見習うところが沢山ありました!!」

「さっきめちゃめちゃ喧嘩勃発しそうになってたけどね」

「皆さんはボウケンシャーですか!?」

「そんなところだよ。君は違うの?」

「ボウケンシャーを夢見ていたこともありましたが、現状はこうやって低層で猟師をやっているのであります!!といってもまだまだ未熟者でありますが!!」

「そういえば、ギルド登録の職業欄にガンナーとドクトルマグスって書いてあったな……ペットってのはちょっとよくわからなかったけど」

「今回は危ないところを助けて頂いて有難うございます!!家が近くにあるので、よければお礼をさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか!?!?」

「それじゃあお言葉に甘えて」

「たったこれだけのことで……まあいっか」

「貰えるもんは貰っておくべきだよ」

(ボウケンシャーを目指して「いた」……か)

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

「兄上ーーーーーーーー!!!!!!お客様ですーーーーーーー!!!!!」

「声でっか!!!!!!!」

「声がデカすぎる」

「お前が人を連れてくるなんて珍しいな」

「お、おじゃましまーす……ってえんがわさん?」

「あれ、今日は樹海に潜る予定だったよな?」

「ちょっとしたアクシデントが御座いまして」

「紹介します!!我が兄サヨリです!!兄上は大層優秀で優れたガンナーでして、前の戦争終結に大いに貢献したそれはそれは素晴らしい方なのです!!

「……もしかして、あの伝説の黒い死神……??」

「その仇名やめて……恥ずかしい……」

「功績は色々聞いておりますわ!!林の中に入った小隊を僅か1時間で全滅させ、自分の存在に気がついた兵士を一瞬で打ち抜き、僅か10mほどの距離を移動しようとした兵士にヘッドショット……ファンです!!」

「サインください!!」

な、何ではしゃいでんのか全然わかんね~~~~

「あの……あの件はあまり褒められても嬉しくないので……」

「お前昔から目立つの嫌いだよな」

「手柄を建てたかったわけじゃなくて、早く戦争を終わらせたかっただけだからな」

「そんな御方がまさかハイ・ラガードに住んでいらっしゃったなんて。どうりで終戦後消息が掴めなくなっていたわけですわね」

「静かに暮らしたかったんだ。以前のように銃も握れなくなったしね」

「ところで、お前がさっき言っていたガンナーって」

「そう、こいつ」

「???何の話でありますか???」

「えんがわのギルドにお前を推薦しようと思ってな」

「なななななんですって!?!?それは無理です!!だって自分は今まで……!!!!」

「なんかあったの?」

魔物を集める程のクソデカボイス、なにかにつけて俺の話ばかりする協調性の無さ、頭が固い癖に何も考えていない諸々……どこのギルドからもお役目御免をくらってるんだ」

「結構ボロクソ言いますのね」

「万が一兄がいたとして、これ言われたら泣く自身あるわ」

「……カレイの方が適任かと」

「カレイは既に別のギルドに入ってるだろ。それにお前も本当はなりたいんだろ?冒険者

「ですが……」

「冒険が大好きなら大歓迎だよ!!!」

「ギャー!!いきなり窓の外からびんちょうが出て来た!!」

「あ、貴女が噂に聞くびんちょうさん……どうも(このにばれる事なく距離を詰めてくるなんて一体何者なんだ……?)」

「うちに今丁度ガンナーいないし、それに冒険が大好きって気持ちが一番大事!!一緒に冒険しよ!!」

「……」

「仮でも良いと思いますわよ。いくらこっちがウェルカムムードになったとしても、そちらから願い下げになることもありますし」

「うちのギルドの加入条件は『びんちょうについて行けるかどうか』、ただそれだけだよ」

「それさえクリアできれば、あとはどうにでもなるからね」

「でも……」

「俺はお前と一緒に冒険してみたいな」

「えっ……」

「さっき銃の腕前見せてもらったけど、中々だったぞ。あれはちゃんと毎日練習してないと保持できないだろう。それにあんたの手も……ほら、ちゃんと固くなってる。毎日頑張っている証拠だ」

「……」

「「ふ~~~~~ん僕達の前でそうやって人の手まじまじと触って感触確かめて頑張りを認めるイベントやっちゃうんだ~~~」」

「お前らは一旦落ち着けよ」

「……まだ正式に加入するかどうかは決めかねているところです。それならば、もう少しだけ探索に同行させていただいても、良いでしょうか」

「わーい!!やったやったー!!仲間が増えた!!!!」

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

「という訳で、新しい仲間のヒラメ君です」

「仮加入と言う形で暫くお世話になるであります!!よろしくお願いします!!」

「あら~凄く元気が良いのね。お菓子食べる?」

「え、いやあの……」

「いきなり餌付けすんな。ところでヒラメ君、ガンナーって確か銃弾に術式入れてるんでしょ?ちょっと見させてもらっても良い??」

「あの……」

「いきなりおねショタすんな」

「おい。僕の姉さんと距離近すぎるぞ」

「はまちジェラシー。あれ、地味に韻踏めてない?」

「はまち、微妙に機嫌悪いな~何があったの?」

「さっきどっちのお姉ちゃんとお兄ちゃんが立派かで喧嘩してたっぽい」

「どうでもいい~~~~~~~~~」

「ふんっ、まあ同じギルドで冒険する以上必要以上に言い合いをする気はないけどね……」

「それはこちらもであります!!ただいずれ兄上がどれだけ立派な方か、思い知らせてやりますからね!!」

「僕の姉さんだって……!!いやいやこれでも僕は先輩だからね。ここは余裕を見せなきゃ。……ま、精々頑張ると良いよ。これは加入祝いの大根、やるよ」

「……(なんだろう、野菜の話にシフトした瞬間、急に人間性を感じられなくなった……怖いであります)」

 

続く!!