「――スゥー、歌います」
「あの~クライソウル何回やっても避けれない♪」
「後ろに回って(弓を)撃ち続けても 触手で足を取られるの♪」
「耐斬ミストも試してみたけど抱擁相手じゃ意味が無い♪」
「だから次は絶対勝つために」
「僕は腕封じは最後までとっておく~♪」
「うん……ボク達の感情を実に良く表した替え歌だと思うよ……」
「それより『エアーマンが倒せない』がキングレコードできちんとMV作られていることが衝撃なんだが」
「……と言う訳で、スキュレー戦で詰みました。割とかなり詰みました。どのくらいかというと……」
「プレイヤーがiPad版で持っているガラージュをAndoroidでも購入して、プレイを始めるくらいには参ってます」
「ガラージュって……白子モノモライの確率の前に膝を着いた筈じゃ」
「スキュレー戦の方がしんどかったっぽいです。あと新しく始めてるんで、白子モノモライの確率とも向き合っていません」
「どっちにしろ逃げてるじゃねぇか!!!!!」
「まず、いかに地獄かを語っていきますね。巣鴨さん、よくよく聞いておいてください」
「あ、はい……(さっきからいかに地獄かを語りたくてしょうがないらしく、ギルドの全員が僕を囲んでるんだよな……なんだこれ)」
「まずこちらの『クライソウル』。ランダムで壊属性のダメージを何発か与えてきます。一発でもかなり削れるので、初っ端からパーティーが壊滅する可能性があります」
「次に『子守唄』『這い寄る触手』、かなり高確率で使ってくる技でそれぞれ全体睡眠と足封じになっています!!睡眠中に受けるダメージでメンバーが一人死に、そのリカバリーをしている隙にクライソウルで壊滅であります!!!!!ぎゃっ!!!!!」
「そして、敵の高い防御力と激しい攻撃に何とか耐えつつ、HPを半分ほどまで削ると『慈愛の抱擁』が飛んできます。命中率は低いものの全体攻撃で、一発当たると確実に落ちます。脚封じか睡眠状態だと確実に当たります」
「ご覧の通り馬鹿がバイキングで持って来た皿並みに隙が無さ過ぎるヤバヤバモンスターなんだわ。巣鴨さん、解った?」
「あ、はい」
「まず考えなくてはいけないのはパーティー編成じゃな。子守歌はかなり高確率なので、状態異常を防ぐことができるバードは必須じゃ」
「あとは防御面だな。クライソウルは『耐壊ミスト』で軽減できるが、それだけだとまだ危うい。バードの『聖なる守護の舞曲(Lv.10)』とカースメーカーの『力祓いの呪言(Lv.10)』を同時に使うことで、ダメージをこのくらいまで減らすことができる」
「という訳で僕が採用されました。まさか君と共闘する日が来るなんてね……」
「それはこっちの台詞。でもそうも言ってられないからね」
「お願いだから仲良くやってくれよ」
「ちなみに敵の攻撃はパラディンのガードで防げないの?」
「フルガードが正直いまいちで……かといって、フロントかバックだとどちらかしか守れないしで……と言った感じで今回は見送られました」
「ガードの為に、3人以下で倒すってのも一つの手だと思うよ。その場合、ランダム攻撃が多いからダークハンターでトラッピングするのが良さそうかな」
「ただ1層2層とダクハンが出ずっぱりだったので今回は見送りました。……せっかく久々のトラッピング芸人だと思ったのにな!!」
「話が色々それましたが、最後にアタッカー選出です。今の状態でまずバードとカースメーカーと二枠埋まっています。なので残りが二枠がアタッカーというのが理想でしたが……」
「ぶっちゃけきつかったっすね」
「二人アタッカーだとバード一人での回復に手が回らず、物資も足りないということで、まさかのメディックで一枠使うことになりました。正直ボス戦は出番無いかと思ってた!!」
「アルケミストとカースメーカーもそうだけど少人数でプレイする場合、特化型より、一人で複数出来る方がありがたいからね……そうなると、どうしても属性使うにしろ封じを使うにしろガンナーやダークハンターの方が使いやすい訳で……」
「そういう事情もあり、今までボス戦での回復はドクトルマグスがやってきたんじゃが、今回のスキュレーは封じも状態異常も使ってくる上に、強化枠はそもそもかっつかっつでのう。メディックのまいわしの方が適任だったわけじゃ」
「どんどん固まっていきますね!!」
「最後のアタッカーは悩んだ末、僭越ながらソードマンのあたしが務めることになりました。まず現状でカースメーカー、メディック、バードと前衛が一人もいなかったので、前衛職の中から選ぶべきかな、と思いまして」
「ちなみにブシドーですと紙耐久で吹き飛ばされます」
「えーっと、最終的にメンバーはソードマン、メディック、バード、カースメーカーってことですか?今のお話聞いているとかなり安定してる感じがしますし、これは……!!」
「そううまくいったらね、ガラージュの世界に逃げないのよ」
「ア、ハイソウデシタ……」
「問題はシンプルに火力不足ですわ。時間を掛ければ何ターンもかけて半分くらいに削れるんですの。ですが巣鴨様、敵のHPが半分ほどになると、どういう攻撃が飛んでくるか覚えていらっしゃいますか?」
「……慈愛の抱擁」
「こちらの運が無いのかどうかわかりませんが、必ず誰かひとり慈愛の抱擁を食らって死ぬので、運任せにはできないであります!!しかもほぼ毎ターン飛んできます。前半のようにちまちま削っていると、どんどん抱擁されて壊滅するのであります!!!」
「……これ、詰んだのでは?」
「……」
「「「はーーーーやっぱり釣りは楽しいなあ(くうううううん)」」」
「お願いだから汚水の中から戻ってきて!!」
華麗(?)に続く